えっ、鬱病?
2004年 11月 22日
「調子は、どう?」
「うん、まぁまぁ。熊本の先生からもらった薬を飲んだら、少しいい感じ。」
「なんて薬? 」
「パッケージにデパスって書いてある。」
「デパスって抗欝剤だったかな。まぁ精神安定剤のようなものだから、
睡眠剤代わりに処方されたのかもね。とにかく眠れるようになってよかった。
睡眠はとにかく大事だから…。」
+ + +
炎症が起こるエリアがだんだん広がっていくのに、
原因が分からず悶々としていた時期だった。
どうして原因が分からないのだろう。
当時、通院していた大学病院で血液検査をしても結果はいつも「異常なし」。
なのに、診察のたびに薬は処方されていた。
「眠れない」を解消するための、睡眠導入剤。
「顔の炎症が痛い」を解消するための、ステロイド剤。
それらを何の疑問もなく使用し続けた。
+ + +
そういうことの合間にもらった「デパス」。
今なら「デパス」をもらっても、お薬110番に書いてある
気分をリラックスさせるお薬です。
不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくします。
という概説に納得するだろう。事実、数日間は眠れたし体も楽になった。
けれど、あの頃は、そうじゃなかった。
確かに、魔法の薬(デパス)を飲んだら、眠れたし体も少し楽になった。
だけど同時に、抗欝剤を処方されたことを知って少しショックを受けた。
いったい、自分の体の中で何が起きているのだろう。
ワタシって鬱病なの?
鬱病って体が炎症を起こすの?
大学病院に通い続けていたけれど、何か違和感があった。
それは、詳しい説明もないまま処方される薬への不信感だったかもしれない。
赤く炎症をしてる顔にもらった薬を塗ると、
さほど時間もかからず炎症がひき、白い「紙色」のような顔色になった。
会社の同僚は、「その薬、強いんじゃないの」と心配したが、
サハラは、顔が赤いまま人と会うことの方が嫌だった。
今思えば、自分が気にしているほど周りはサハラの顔が赤いことなど
誰も気にしていなかった。
「また、海に行って来たの? 今度はどこで潜ってきたの?」
何気なくかけられる言葉は、言葉どおりの意味しかなかったのに、
「やっぱり顔が赤いんだ」と、ひとり気に病んでいたのだ。
そして、それを隠すために塗り続けた薬。
はじまりは、首にできたほんの小さな接触性皮膚炎だったのに…。
それがいつの間にか、体全体に広がりつつあった。
原因は相変わらず分からず、アトピーと診断されるのは、
もう少し時間が経ってから。
そうして、サハラのアトピーは、
心の奥に棲んでいた「不安」が呼び寄せたものだと分かるのは、
もっと、ずっとず~っと後になってからのこと。