ワタシがアトピーになったワケ 3
2005年 02月 25日
長い待ち時間を廊下のベンチで過ごした。
どういうわけなのか、聴覚が敏感になりいろいろな音が聞こえてくる。
医療器具のカチャカチャという金属音。
トイレに人が入るたびに響くパタンパタンという扉の音。
人の話し声もよく聞こえた。
その中に「あんなに赤く腫れて、どうしたんだろうね」という
サハラの顔を見て話している会話も聞こえ、いたたまれなかった。
2時間ほど待って、やっと診察。
先生は開口一番、
「あぁ~、腫れちゃったね。ステロイドをどのくらい使いましたか?」と言った。
「えっ、ステロイドってなんですか?」
「なにか軟膏を使っていませんか?」
「1年位前、接触性皮膚炎になり…」
サハラは現在通っている皮膚科での治療の経緯を説明した。
「その皮膚科で処方された軟膏は、多分ステロイド剤です。アトピーなどの治療によく使われますが、強いものを長期間使用したあと急に止めてしまうとリバウンドといって、あなたのように激しく炎症を起こすケースもあります。」
初めて聞いたアトピーやステロイドという単語。
なにやら恐ろしげな名前にうろたえながら
「こんなに腫れちゃって治るんですか?」と聞きながら涙が出てきた。
「とりあえず炎症を鎮めるために、ステロイドを処方しますので…」
「えっ!ステロイドが原因でこんな風になったのに、どうしてステロイドを処方するのですか?」
「そんなにひどく炎症を起こしていたら普通の生活ができませんよ。まずは炎症を鎮めることです。治療はそれからです。今日は血液検査もしましょう」
ステロイドのせいでこんなになったのに、またステロイドを使うのか。
昨日までできていた普通の生活ができなくなるのか。
毒をもって毒を制す、ということか。
不安で涙が止まらない。
炎症を起こしている頬に流れる涙が、沁みて痛かった。
@この項続く
ワタシがアトピーになったワケ 1
ワタシがアトピーになったワケ 2